飲食業界における、「出張シェフ」の新たな可能性

皆さんは「出張料理」と聞いてどのようなイメージをもたれるでしょうか？

『お金に余裕がある人が利用するサービスでしょ？』

そのように思われるかもしれません。


確かに、出張料理でコース料理やお寿司を依頼すると相場は一人当たり10,000円前後。全く安くはありません。

でも実は今「出張料理」で1番利用されているのは、コース料理やお寿司ではなく「作り置き」のスタイルなんです。


出張料理で「作り置き」をされているシェフの価格の相場は3時間で10,000円前後。

作り置きでは作業時間に対する価格設定をされている方がほとんどです。


食材費は別料金の場合が多いので、仮に合計で18,000円かかったとしましょう。

4人家族で3食分の作り置きができたとすると、一食あたりの金額は4人で6000円。


外食に行くといくらかかるでしょうか？

うち2人がお酒を飲んだとすると、10,000円では足りないかもしれません。


「こうやって比べてみると、出張料理を依頼した方が、なんだかお得なように思えてきませんか？」


そうなんです。実はこの”出張料理のお得意さ”に気づいたお客様から、どんどん依頼が増えているんです！

私自身も出張料理を始める前は、富裕層の方が一番のターゲットだと考えていました。

でも始めてから半年経って、最も出張料理に対するニーズが多いのは「富裕層の方ではない」ということが分かってきました。


出張料理を最も求めているお客様、、、

それは「小さなお子様のいらっしゃるご家庭」だったんです。


『本当は外食したいけど、小さい子供がいるからなかなか難しい』

『周囲のことを気にせずに、たまには贅沢な料理をゆっくり食べたい』

『子育てと家事の両立が毎日大変で助けて欲しい』

『子供の好き嫌いが多く、毎日の献立に困っている』


このようなお悩みをお持ちのママさん,パパさんからのご依頼が最も多かったんです。


これこそが、今出張料理に対して”最も求められているニーズ”だと気付かされました。

『家政婦さんがいる家は、かなりのお金持ち』

ほとんどの方がそう考えられているはずです。


お金を払って家事をしてもらうのって、ものすごく贅沢な気がしますよね。

『家政婦さんは自分達には縁がない』と思われるかもしれません。


でも、家事の中で特に大変とも言える『料理だけでも誰かに作ってもらいたい』

というのが、ほとんどの方の本音ではないでしょうか。


「出張料理はこの皆さんの願いを叶えることができるサービス」だと私は考えています。


これまでのように「お家まで来てくれる便利なレストラン」としての役割はもちろん変わらないでしょう。

ですが今後はそれだけでなく、「料理を専門に家事を助けてくれる、料理専門の家政婦さん」としての役割も、出張料理では担うことができると感じています。

「出張料理」というサービスは、社会に対する多くの”可能性”を秘めていると感じています。

その中でも”特に大きな可能性”と考えているものが3つあります。


一つ目は、「 料理人はおいしい料理を作るのが仕事」という見方だけでなく、「 人々の生活を助けることのできる仕事」という、 料理人の新たな存在意義を生み出す可能性を秘めているということ。

二つ目は、「 リスクが小さく、始めるのにも多くのお金を必要としないこのスタイルは、料理人の独立の新たな選択肢になり得る」ということ。

三つ目は、「 長時間労働、安い給料、週末は必ず仕事」と言った、飲食業界におけるイメージを変える働き方が可能になるということです。


極論を言えば、初期投資0円で始めることができ、自分で働く時間や日にち、販売価格を決めることができるのが「出張」というスタイルです。

もちろん、集客や移動など大変な要素も多くあります。

ですが、何よりも”お客様の役に立てている”という実感を得ることができる魅力があります。


「人々の役に立てる。そして料理人に新たな働き方を提案できる。」


「出張料理」はそんな大きな可能性を秘めていると、日々感じながら私はこの活動を行なっています。